2022 幕張のマンションリノベーション2

千葉県幕張にある高層マンションのフルリノベーション。延べ床面積100m2弱の住戸に若いご夫婦と娘さんの3人が住む。

元々LDKであったスペースを広いダイニングキッチンとし、これを中心にAVルーム、洗濯干場、書斎がガラスの框戸を境界に接続する。ガラスの框戸は、自由度の高い引戸になっており、これの開閉によって空間を柔らかく分節することができる。

キッチン、洗面・浴室、トイレなどの水廻りは、マンション の給排水管から位置を固定しており、既存プランからの大きな位置変更はない。

既存プランでは、寝室から繋がるDEN(第二リビングのようなフリースペース)が存在していた。今回、玄関とDENを仕切っていた壁を抜いて、玄関正面をDENとし、ここから主寝室と子供部屋の二室にアクセスするように動線変更を行なっている。DENは書棚で囲まれており、簡単な接客や子供の遊び場、外部建具上部に隠されたスクリーンを下げて映画鑑賞を楽しむことができる。

今回のリノベーション では、建て主ご夫婦からインテリアデザインを建て主ご夫婦自ら行いたいというご要望を受けた。故に床、壁、天井の仕上、色決めから建具や開口のデザイン、照明器具や金物の選定に至るまで、建て主ご夫婦の手による。私たちは、建て主ご夫婦のご要望を既存駆体に落とし込みながら各所でバランスを図り、全体をまとめあげることに専念した。時に部分的に、あるいは各室で完結したデザイン故のパッチワーク的なデザインに収束することが予想されたため、床高H=2000より上部の天井部分のみ全体をまとめる同一要素による設計を行なっている。同一要素とは、H=2000から上部に斜めの勾配をつけた台形のような天井形状をつくることであり、色、素材共に同一の壁紙で仕上げている。この操作により、H=2000より下で如何様のデザインがなされたとしても住戸全体のまとまりを損なうことがなくなり、同時に空間境界を柔らかく規定してもいる。

設計行為は、究極的に設計者の恣意性によるデザインがつきまとうこととなる。今回、意匠設計の目に見える表層的デザインについて建て主ご夫婦が担われたことにより、私たち設計は、ある部分で意匠設計に包摂される恣意性から開放された。

所在地 / 千葉県千葉市
主要用途 / マンションのフルリノベーション
構造 / RC
構造設計 / ー
施工 / 株式会社持井工務店 持井大輔
写真 / Smart Running 小泉一斉