2022.01.21 『八束はじめインタビュー 建築的思想の遍歴』(鹿島出版会) 感想文

年明けすぐだったと記憶していますが、城西国際大学で助教をされている金子祐介さんから『八束はじめインタビュー 建築的思想の遍歴』(鹿島出版会)という本をご恵贈いただきました。金子さんは、多くの建築家や作家へのインタビューや聞き取りを行われていて、今回氏の大学院時代の恩師であり、日本を代表する建築家でもある八束はじめさんにインタビューしたものをまとめたものが書籍化されました。

本書は、50年に及ぶ八束さんのまさに「建築的思想の遍歴」をまとめられたもので、東京大学の学生を経て磯崎新さんに師事された修行時代、独立して実作を重ねられた時期、芝浦工業大学に着任されてからの3部構成になっています。

思想的にも理論的にも知の最高峰に位置する八束さんの書籍ですから、さぞ難解なのではと心してかかったのですが、インタビューということもあってか一人の建築家であり理論家の瑞々しい生の発話が収められていて、一気に読み終えることができました。もちろんここに出てくる八束さんの多くのプロジェクトや思想や理論的詳細について僕自身明るくない部分も多く、また使用されている言葉などその意味を理解できないものもあったため、ニュアンスを体感するというレベルでの理解にとどまる箇所も数多くありました。しかし、一人の巨人がどのような人生を歩み、そこでどんな人と出会い、実作を作り、思考を展開してきたのかを俯瞰的に紐解いている良書でありました。

僕は、ここで書評を書くつもりはありませんし、拙い知識や思考からいっても感想文を書くにとどまりますが、本文を、今回本書をご恵贈くださった金子祐介さんへの謝辞に代えさせていただきます。

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